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コラム

あなたにとってストレスとは?

ストレスチェック制度の義務化が始まってから、早くも半年以上経過しました。新聞やテレビなどで、その話題が取り上げられているのをご覧になられたという方も多いのではないでしょうか。

そんなこともあって、今年は、例年以上に「ストレス」と言う言葉を耳にされていらっしゃるかもしれません。皆さんは、「ストレス」という言葉をどのような時に使われていますか? 今回のコラムでは、「ストレス」をテーマにしてみたいと思います。

医学や心理学の領域では、こころや体にかかる外部からの刺激をストレッサーと言い、ストレッサーに適応しようとして、こころや体に生じたさまざまな反応をストレス反応と言います(厚生労働省HP「こころの耳」)。一般的には、ストレッサーもストレス反応もまとめて「ストレス」と言われることが多いと思います。ストレスには、悪い面ばかりでなく、「乗り越えることで自己成長へとつながる」、「適度なストレスは<人生のスパイス>と言われ、人生をより豊かなものにする」、「ほどほどにストレスがあった方が、効率が高まる」と言う良い面もあります。

健康心理学者のケリー・マクゴニガルによると、アメリカで成人3万人に対して行った調査の結果、ストレスが多いと、死亡するリスクは高まりますが、それは、「ストレスは体に悪い」と信じている人に言えることであり、「ストレスは体に悪くない」と信じている人には当てはまらなかったそうです。

ストレスを感じて心臓がどきどきした時、これを体に悪いとネガティブに捉えると、実際に血管が収縮し、心不全などの原因となるのに対し、心臓がどきどきするのは新鮮な血液を心臓にどんどん送り込んでくれているのだと肯定的に捉えられると、血管が収縮しなかったことから、ストレスは捉え方によって、健康に全く害を与えないと結論づけています。ストレスがかかると、「嫌だな」と、ネガティブに捉えがちですが、ストレスが身体に悪いのではなく、ネガティブな反応をしてしまっていること自体が、健康を損なっていると言えそうです。

とは言え、“言うは易く行うは難し”で、実際にはなかなか肯定的に捉えられないことも多いかと思いますが、そんな時こそ感情に流されず、冷静で論理的な思考をするための準備が必要です。少しクールダウンするために時間をおいて「考えるのに適したコンディション」を作ってから考えてみられると良いかもしれません。

          (御池保健センター 臨床心理士 岩佐  浩)